5.世の中みんなが支えている
見学中のミーティング場所、ホテルのロビーにて。
手に持っているのはガイドブック、ではなく
スウェーデンの福祉・経済についての本です。
ウプサラ大学NICUのようなやり方を可能にしている背景の一つに、スウェーデンの医療・福祉システムがあります。
まずは、どんなお父さん、お母さんにも役立つシステムから…
★ 産休
期間: 出産の前後は、お父さんも最大10日間取得可能
所得保障: 給料の最大80%
財源: 両親保険(税金を用いた社会保険)
★ 育児休業手当
期間: こども1人につき16ヶ月間 (分割して取得可能)
給付額: 最初の13カ月間…働いていた時の最大77.6%
残り3カ月…月額約65000円
払い手: 両親保険(税金を用いた社会保険)
ここでのポイントは、育休手当の受給権が
お父さんにも認められる
夫婦で自由に譲渡ができるが、2ヶ月分はお父さんに対してのみ支給
お母さんお父さんがそれぞれとる育休日数が 1:1 に近づくほど、税制上の優遇がある
という点です。
産休、育休をお父さんもとりやすくしているだけでなく、お父さんが育児に参加するほど優遇されるシステムになっているんですねー。
人々のポリシーに頼るだけでなく、自然とこどもと過ごすことを選びたくなる工夫があるようです。
※ ちなみに民間企業の育休取得率(2004年)は
スウェーデン: 男性79.2%、女性84.0%
日本 : 男性0.56%、女性70.6%
です。
そして、病院でこどもに付き添う、病気のこどもを世話するためのサポートがあります。
★ こどもの介護のための休暇
期間: こどもが12歳(状態によっては16歳)になるまで、こども1人につき年間最大120日
ただしこどもの病状によっては無制限
(例:赤ちゃんが在胎32週未満で生まれた 等)
所得保障: 休暇中は、年収の80%相当額から計算された1日あたりの収入
財源: 両親保険 (税金を用いた社会保険)
これによって、病院でこどもとずっと過ごすことを、お父さんもお母さんもより選びやすくなっています。
他にはこんなことも関係しています。
★ 18歳未満のこどもの医療費無料化
(コンビニ受診などで大事なお金が無くなってしまわない様、適切な受診や、病院の役割分担を
促す仕組みもあります)
★ 保育所の充実
ご存知のように、スウェーデンの税金は高い・・・ けれど、高福祉。
しかも、大事なお金が有効に使われるよう、国民が監視しシステムをより良くすることが行われています。
日本の産休
女性が出産前後にとる休業の期間で正式には産前産後休業といいます。男性はとれません。
産前が出産予定日から6週間(双子以上の妊娠の場合は14週間)で、産後は 8週間です。
産休中は多くの職場で給料がでません。また社会保険料も払わないといけません。
出産した時に受け取れるお金は以下に示します。
日本の育休
こどもが1歳に達する日(誕生日の前日)までの産後休業を除く約10か月の期間です。
男女ともとれます(が、日本の男性の育休取得率は左に示すように低いです)。
育休中は多くの職場で給料がでません。社会保険料は免除されます(申請が必要)。
手当は以下に示します。
日本で、産休・育休に関してもらえるお金
(2013年9月現在)
①出産育児一時金
対象となる人:健康保険に加入している被保険者
が出産したとき(被扶養者が出産し
たときは被保険者に支給)
給付額:こども1人につき42万円(うち3万円は
産科医療補償制度の保険料)
払い手:健康保険
②出産手当金(産休中の生活保障)
対象となる人:健康保険に加入している女性
期間:出産日以前42日(双子以上は出産日以前
98日)から出産日後56日までの期間で、
給与を受けられない場合
給付額:休業1日につき、標準報酬日額の3分の2
相当額
払い手:健康保険
③育児休業給付金:
対象となる人:男女とも
期間:女性は産後57日目から・男性はこどもが
生まれた日 ~ こどもの1歳の誕生日まで
給付額:休む前の平均給料の最大50%
払い手:雇用保険