こんにちは。日本でやりやすい・日本ならではのファミリーセンタードケアについて毎日頭をひねる、こどもかぞくまんなかです。
“ウチのFCC”(ファミリーセンタードケア)は、国内のNICUで行われているケアを教わり、それに込められた思いや工夫をお聞きする
コーナーです。これからのヒントを得るべく、おじゃまして参りました。
施設のリーダーへも臆せずアタック!
ウチのFCC第3回!
2015年6月22日聖隷浜松病院NICUへおじゃまさせて頂きました。
スタッフの方の体験や思い、スウェーデン ウプサラ大学NICU見学での思いなどをもとに現在の形となったNICUです。
最重症の赤ちゃんをたくさんケアしながら、家族を迎え入れる空気にあふれ、そしてなんだかちょっとお茶目な(?)ところもあるNICU。
たくさんのお話をお聞きしてきました。
聖隷浜松病院NICUは日本で最も歴史がある周産母子センターの一つです。2015年にフル稼働となった新病棟は、ウプサラ大学NICUのような居心地の良さを感じる設計として有名で、私たちも訪問を大変楽しみにしていました。
まず、総合周産期母子医療センター新生児科部長の大木 茂先生から施設のコンセプトについてお話頂きました。
実は先生はNICU卒業生のお父さんでもあります。こどもさんの入院当時の思いを言葉にして下さいました。わが子のケアを他人に委ねなければならず、親として手が出せないもどかしさ、大きな不安、葛藤。さらにはNICUの独特の空気感、家族が居づらい環境が、スタッフと家族の信頼関係形成にも影響すると感じられたそうです。先生はその経験から長年、家族がそばにいやすい環境を、愛情をはぐくみやすい環境を、と腐心されてこられました。
大きな前進の機会となったのは、2009年のスウェーデン ウプサラ大学病院NICU見学だそうです。ウプサラ大学病院NICUでは赤ちゃんと家族が24時間一緒に過ごし、家族は段階を追ってこどものケアを担っています。
※ウプサラ大学病院NICUへは、2013年私達こどもかぞくまんなかもおじゃましています。
その様子はこちら
注目すべきは、大木先生の帰国後のお仕事です。国内で早期に実現可能であることを重視し、8時間程度は家族が快適に滞在できるようなNICUを目標に設定されました。
ウプサラのように24時間家族が滞在できることは大切なことではありますが、国内でそっくりそのまま行うことは現段階では現実的でない部分もある。そこで1勤務程度(約8時間)家族が滞在しやすいことをコンセプトに新病棟を作り、家族が希望すればさらに長く滞在できるようにされたのです。
結果として、新病棟では旧病棟に比べ家族の滞在時間が2倍になり、8時間より長く滞在する家族もみられるようになりました(下図)。できることをまず始めて、その場所で赤ちゃんや家族が力を発揮できると、ファミリーセンタードケアは拡大していくんだなあと思いました。
【聖隷浜松病院NICUの概要】
・ ベッド数:NICU 21床、GCU 21床、MFICU 15床
・ NICU入院数:およそ 550件/年
・スタッフ:
新生児科医師11名
看護師 NICUに52名、GCUに28名(パート勤務含む)
(・ 分娩数:およそ1500-1600件/年)
とても規模の大きな周産期施設です。
大木先生から頂いたデータです
とても気さくにお話し下さる大木先生(収納を見せて下さっています)
ポロシャツ、ピンクなんですね