【リラックス お母さん】
つぎは在胎25週で生まれて手術のためにウプサラ大に来て、入院中の双子の赤ちゃんです。
カンガルーケア中のお母さんとお話しする機会を頂きました。
呼吸の管が入っている子のカンガルーケアをすることも最初から怖くないし、
カンガルーケアは“ Fantastic(すてき)”
と、とても穏やか に話されていました。
可動性の間仕切りは棚を兼ねていて、お母さんが手を伸ばすと、おいてある本や雑誌に手が届きました。
お母さんはスマートフォンのゲームをしながらカンガルーケアしていました。
足を器用に使って、タオルケットの位置を調整したりしていて、まるで自宅にいるようにリラックスしているように感じました。
ちなみに「一日どのくらいカンガルーケアしているの?」と聞いたら、「Almost(ほとんどずっと)」
と答えてました。
お母さんがお昼をとるために、赤ちゃんをカンガルーケアからオープンクベース(屋根のない保育器)へ移しました。これは見たかった場面で大変素敵な場面でした。
看護師が呼吸器を、お母さんが赤ちゃんを移動させます。
まずお母さんが、「トラックケア(吸引のための器具)も外して」と看護師にリクエストしてました。
お母さんは両足を少し上げて、反動をつけるように、起き上がってました。
カンガルーポジションのまま、オープンクベースへ移していました。
素晴らしい!と思ったことは、お母さんができるだけオープンクベースに覆いかぶさるように前かがみになって、
赤ちゃんが空を移動する距離を短くしていて、着地する直前までしっかりと胸に密着させていたことです。
そのように言われているのか、お母さん自身の考えかはわかりませんが、この方法は赤ちゃんの移動ストレスを減らすのに理想的だと思います。
部屋は本当に静かで、カンガルーケアされていない方の赤ちゃんの計画外抜管が起こりましたが、そのときでさえ
日本では考えられないほど静かに処置が行われました。
この時もお母さんがすごく落ち着いていて、スタッフとの信頼関係が感じ取られました。
処置の後、スタッフがお母さんに説明をしました。
そして上の子はプレイルームで待っているようで、カンガルーケアを終えて、慣れた手つきで注入をした後にお昼に行っていました。
カンガルーケア が特別なことではなく日常の一部なんだなあと感じました
メンバーの研究からコメント
以前行った研究では、カンガルーケアと保育器の移動は、看護師が行うよりも、慣れた家族が移動した方が赤ちゃんのストレスが少ないという結果でした。
また、赤ちゃんは 家族の胸⇒看護師⇒保育器 の複数回移動をする必要がなくなります。
齋藤香織「カンガルーケアにおける移動方法の検討~母が直接抱っこして移動する方法を評価する~」第20回日本新生児看護学会講演集p193.2010.
計画外抜管
様々な原因により、予定してなく呼吸のためのチューブが抜けてしまうことをいいます。
ママの胸の上で
スヤスヤ眠っていた
赤ちゃん。
ベッドに戻ると、
モゾモゾ、ゴソゴソ・・・
落ち着かない様子。
この赤ちゃんはベッドよりも
ママの胸の上がお気に入りのようでした。
やはり静か、穏やか
というのが一番でした。
こんな雰囲気を提供
できたら、赤ちゃんは
穏やかに成長できるなあと思いました。
初めて入った場所
なのに、
ほんとうに穏やかで
居心地が良くて・・・
ずっとこの空間にいたい
と、心から思いました。
自然光と、その影が効果的に使われている集中治療フロア。
床の色も、家族がいる場所は落ち着いた色が選ばれています。
どこも、とても静かで穏やかな空間です。
実際に身をおいてみて、赤ちゃんの呼吸や循環を安定させるだけでなく、赤ちゃんが長い時間を過ごすNICUの中の雰囲気を大切に考えたいと感じました。
そんな空間を作るために、このような工夫もされていました。
ぱっと見て分かる騒音計です。
50デシベル以上の音が鳴ると、緑→黄→赤に変わります。
集中治療フロアの隣にあるスペース。
赤ちゃんのモニタが離れていても確認できます。
スタッフ同士は、ここで会話したり、相談しているようです
そしてそして、
スタッフ自身が穏やかでいられることも、とても大切です。
Staff incubator &phototherapy
(スタッフ用保育器&光線療法
・・・休憩スペース)
短時間でも外の光にあたってリフレッシュ
することが大切、というウーベ先生の思いが
形になった穏やかな空間です。
お庭の手入れは先生自らやっておられるとか!?
見学メンバーもここでコーヒーブレイクさせていただきました。