3.NICUで、赤ちゃん・家族と会いました
ではいよいよNICUの中をご案内します。
幸運にも赤ちゃんと家族の近くで過ごさせていただくことができました。
見学メンバーの感想をそのままお伝えしようと思います。
【グッジョブ!お父さん、 グッジョブ!スタッフ】
ふたごの赤ちゃんが両親とカンガルーケアをしていて、お父さんとお母さんが目を合わせながら会話している様子でした。
赤ちゃんたちは在胎22週で生まれ、現在修正32週(生まれて10週間がたった)です。
お父さんからお話をうかがいました。
生後5日目からカンガルーケアを開始し、最初はモニターや点滴がたくさんついていて皮膚も未熟でとてもドキドキだったけど、今は慣れてもう大丈夫。
SpO2(酸素のつき具合)が下がるだけでなく、胸に痰の音が響いたり、背中を触ってゴロゴロしていたら吸引をお願いするよ。
毎週ドクターとカンファレンスをして、状態についてよく話を聞いている。
もう10週間も一緒にいるから、この子のことは僕がよくわかっている。
と、とても穏やかで、自信に満ちた笑顔でお話してくださいました。
人工呼吸器の設定もよく見ていて、そろそろCPAP(赤ちゃんの力をメインにして呼吸ができるモード)かな、と自分でおっしゃっていました。
鏡を使って、気管チューブが引っ張られてほっぺが引きつっていないか、呼吸器回路に水がたまっていないか確認しているそうです。
経管栄養は、看護師がチューブの確認をしたあと、両親がSpO2を見ながらゆっくりと15分くらいかけて注入していました。
お父さんがお昼ごはんに出かけるために赤ちゃんを保育器にもどし、自分でてきぱきとポジショニング(赤ちゃんの体勢を整えること)をする様子はすごく自信を持っているし、リラックスしていると思いました。
保育器にもどして赤ちゃんが落ち着き、様子やモニターに変化がないのを確認すると
私たちに両手で親指を上に のサイン(グッジョブでしょ!!)をしてくれて、とても誇らしそうでした。
家族の近くにいるスタッフにもお話をうかがいました。
以前は十分なスペースがなくて、家族も一緒にあまりいられずカンガルーケアも十分できなかったけど、今は一緒にいられてベターだと感じているとのことでした。
家族への支援は簡単ではなくて、いろんな人がいる。近道で行ける人もいれば遠回りする人もいるけど、行きつく先は一緒。家族を信じて、また家族に自分たちを信じてもらうことが大事
とおっしゃっていました。
そんな中、他の病院で生まれた、横隔膜ヘルニアの赤ちゃんが入院してきました。
24時間カンガルーケアと保育器
ウプサラ大学NICUでは赤ちゃんが体温が保てる状態になったら保育器をメインで使うのを終了し、お父さんお母さんの胸の上で1日の大半を過ごす方法をとります(24時間カンガルーケア)。
この方法を段階を追いながら確立してきました
カンガルーケアをする
お父さんが、
幸せそうにわが子の
ことを語る、
自信に満ちた、
穏やかな笑顔・・・
その表情がすべてを
物語ってくれました
NICUでの母乳育児
赤ちゃんに母乳をあげることは、親子にとって素晴らしいことです。
病気を持って産まれた赤ちゃんや、小さく産まれた赤ちゃんにとっては、さらに特別なメリットがあります(赤ちゃんの腸に優しい、赤ちゃんを感染症から守る、その親子にぴったりで、赤ちゃんの成長に役立つ成分がより多く含まれる等)。
直接母乳を飲むことができない赤ちゃんには、搾乳した母乳を、チューブを通して胃に直接あげることができます。
横隔膜ヘルニアは、NICUのスタッフにとっては、なかなかぴりっとする病気です。
この病気をもつ赤ちゃんの入院には、たくさんの準備をします。またしばらくの間、きめ細かい医療が続きます。
でも部屋の中は静か… これにはびっくりしました。