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いわき市立磐城共立病院NICU その6

【家族をつなぐ】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本田義信先生にお話をうかがいました。

 

 

ここでは急性期から、いつでも好きな時に好きなだけ赤ちゃんと一緒に過ごすことができます。

急性期でも24時間会えるようにしていることには理由があります。実際に24時間まるまる付添うことはなくても、いつでも会えるという安心感を家族に提供することで、気持ちをつなぐことができると考えるからです。安心感や希望が、同室ができ、退院できるようになるまでの家族をつなぐのです。

 

 

同室を取り入れた頃は、母乳分泌が増えないお母さんとその赤ちゃんにとってのメリットに目をむけていたそうです。

しかし、この20年間多くの赤ちゃん・家族に出会い(中には親族の援助を受けられない家族、生活・社会面での困難が大きい家族、面会が遠のきがちな家族もあります)、一緒に過ごすことそのものの大切さを実感するようになったのだそうです。

 

ゆったりたくさん一緒に過ごしてもらうこと、母乳育児以外の部分でも家族が自然に役割を担え楽しめることで、結果的に母乳育児支援も成功しているように思いました。

 

 

本田先生は家族と話をすることをとても大切に考えておられます。

治療を工夫して赤ちゃんが良くなるのを見るのと同じくらい、対話を繰り返す中で家族が変化し家族になっていくのを実感するのが好きだと言われていました。

 

ここで名言登場!

「家族と話すことは、ムンテラマイシン」

 

 

 ※補足

  “ムンテラ”はドイツ語のムント・テラピーmundtherapieをもとに日本人が作った医療業界?用語です。

  英語に置き換えるとマウス(口で行う)・セラピー。

  病気や治療についての説明だけでなく、お互いの思いを共有すること等、医療がうまくいくには

  “よく話すこと”は欠かせません。

  本田先生は“ムンテラ”に“マイシン(薬の名前の一部でよくある文字列)”をひっつけて、“話すこと”が

  治療の大切な一部であることを語っておられます。

 

 

入院時の病状説明、その後の説明には必ず、母乳育児のメリットやコツ、赤ちゃんのそばで家族ができることについてお話をされています。

家族ができることを明確にすることは、とても大切だと私達も日々思っています。

先にお伝えした、退院に向けての“泊まりの同室”についても入院時・急性期から家族に伝えて、きょうだいの預かり等の心づもりができるようにされています。

 

きちんとした説明の機会以外にも、ほぼ毎日家族と言葉を交わしていると言われていました。

こじんまりしたユニットの良さが生きていますね。

やりとりの中で、そばにいることが赤ちゃんにとって大切ということを伝え続けているのだそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

家族をつなぐ意味。さらに掘り下げたいと思います。

 

病気を治す、異常な構造を正常に戻す、心をいやす等の単なる「治療」に留まるのではなく、人間社会の一番の基本である「人と人の絆を築き、心を育てる医療」である点。それが周産期医療の最も大きなやりがい。

 

これは本田先生の言葉です。

赤ちゃんと家族を強い絆で結びつけることをこのように考えておられます。

 

 

 養育者(家族)からの絶対的な「愛情」

 ↓

 こどもは、自分の存在を受け止めてもらい安心感を得る

 ↓

 それがやがて他者に対する信頼感、心の根っこを作る(ボルビイーの「心の安全基地」を作る)

 ↓

 社会全体の人々の心の結びつきを作ることにつながる

 

 

磐城共立病院NICUでは急性期からたくさん家族の時間を提供されていますが、簡単でない施設もまだ多いと思います。そんな状況でも、退院に備えることは忘れないでほしいと本田先生は願っておられます。

 

どんなに重症な赤ちゃんを高度な治療で救命できても、その後の家族がうまく行かなければ、赤ちゃんの幸福はありません。

赤ちゃんの幸福を考えて治療するのであれば、退院後の準備をしっかり整えるのは大事なことで、集中治療と同じ重みを持つ事を、スタッフは意識してもらえたらと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

写真は くるりとみわたせるコンパクトなGCU です! 

ついたての中でおっぱいをしているお母さんがいました。

同室がとても楽しみと、おっしゃっていました。面会用の窓が可愛らしく飾り付けられていました。

 

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