いわき市立磐城共立病院NICU その5
【当たり前に、大切にしてきたこと】
とても優しい笑顔の、5人の看護師さんとお話する時間をいただきました。
夜勤帯ではGCUを1人でケアしながら、母子室の赤ちゃん・家族もみているのだそうです。
母子室へは2時間ごとに訪室しているそうですが、GCUから近い点を生かし、泣き声が続く時などはナースコールが鳴らなくても様子を見に行くとのことでした。
母子同室のシステムは20数年つづいており、「当たり前だと思ってきました」と言われていました。
そのため負担に思うことはあまりないそうです。家族が家で困らないためには普通のこと、と思っていらっしゃるそうです。
授乳については、NICUでのカンガルーケアのころから少しずつ説明をし、同室できる頃には家族も上手になっていることが多いようです。
磐城共立病院NICUでは退院の基準が“直接授乳の確立”なので、赤ちゃんが飲む量がなかなか増えずにプレッシャーに思うお母さんも時にはあるそうです。
その場合はスタッフがお母さんの負担を把握し、スタッフ内でのカンファレンスやお母さんとの話し合いを設けます。
「よく話を聞いてみると、家庭内のごたごたでしんどく、母乳分泌が減ってしまったというような方も多い」「お母さんの話を聞いたり、赤ちゃんとゆっくり過ごせるよう調整するなどをしています」
と言われていました。人工乳補足となる事もあるそうですが、その前にこのようなケアができることはとても大切ですね。
モニターの付け外しやアラームへの対応についても、NICUやGCUにいる間、清拭などを一緒に行う中で、少しずつお伝えしているそうです。
行うので見ていて下さい → 一緒にやりましょう → 見守っていますね → 家族で
と段階的に自立を促すとおっしゃっていました。
これはウプサラ大NICUでも行われていた方法ですね。(ウプサラ大NICU見学Q&A 12.家族がケアに参加していく流れ もご覧ください)
家族にとって同室が負担になりそうな様子があれば「いつでも赤ちゃんをGCUでお預かりができます」
「不安なときはいつでもコールしてください」と伝えておられます。これでかえって落ち着いて同室が続けられることもあるようです。
看護師さんのキャリア分布は中堅層が厚いとのことでした。
母乳育児支援や家族への関わりについては、勉強会や、ベテランさんと若手が一緒に家族と関わる中で伝えられていくそうです。
家族に任せる範囲など迷ったりすることもあるそうですが、家族への退院時アンケートでは、母子同室や母乳育児支援に対して良い感想がとても多く、励みになるとおっしゃっていました。
スタッフのみなさんのきめ細かな、心の通った診療・ケアが赤ちゃんや家族に伝わっているのだと感じました。
ケアの背景にある思いをお聞きして、一層あたたかな気持ちになりました。
こどもかぞくまんなかのチラシを持っていて下さいました。