青森県立中央病院NICU その5

【これからのこども・家族】
見学の時間はあっという間に過ぎ、最後は網塚先生に今後のビジョンをお聞きしました。
近いところでは、来春のNICU増床にあわせ、以下を考えておられるそうです。
・NICU内でも産科でもどの勤務帯にも授乳のサポートが充分にできるようにしたい
・母児室を使う機会の拡大
例えば保育器を移動して、より小さな赤ちゃんも家族で過ごせるようにする
・きょうだい面会についても感染対策を工夫しながら検討したい
長期的には、NICU内での家族のスペースの拡充や、それを支えるNICUでの看護体制の拡充を考える必要がある
というお話になりました。
そのためには、NICUだけではなく小児医療全体の問題として考える必要がある、というのが網塚先生のお考えです。
“ 病気のこどもが生まれたり、入院が長くなると、お母さんが職場復帰をあきらめざるを得ないことの多い現状においては、こどもの病気がその家庭にとって、「経済的な破綻」ひいては「家族の破綻」につながりかねません。
現在の日本の経済状況で、「倫理」を「経済」抜きでは語ることができません。
さらに、小児医療すなわち、こどもが病気をもって生まれること、病気になること、を想定したうえでの少子化対策が なければ、少子化はさらに加速し、今いるこどもたちの未来が小さくなってしまう。
その対策には、もはや一刻の猶予もありません。 ”
言葉を選び、考えながら語る、網塚先生からは、NICUの赤ちゃんだけでなく、「将来をになうこどもたち」すべてを真剣に想い、闘う気持ちがあふれて、私達に伝わってきました。
新生児医療に関わる私達は、治療やケアを考えるだけではいけない。赤ちゃんをとりまく社会そのものを考えていかなければいけないのだと、思います。

NICU内の様子です。広々としています。
呼吸管理の方法にあわせて特殊加工された
保育器です! どこがポイントでしょう?



独自の電子カルテシステムです。点滴や薬の投与間違いを防ぐ工夫がされていました。
静かな環境をめざしているとのこと。
「耳」の形の騒音計も購入検討中だとか