青森県立中央病院NICU その6

【メンバーのまとめ】
NICUの通常の見学では、Late preterm児のケアについてはあまり多くを語られないことが多いかもしれません。
今回は短い時間でしたが、「ファミリーセンタードケアの視点」に重点をおき、メンバーにとっても新鮮な形で
見学ができたなぁと感じます。
今回ご紹介した、青森県中の
Late preterm児でも、なるべく母子分離を避けること
母乳育児支援
早期退院へむけての綿密な計画と実践
これらはファミリーセンタードケアを始める・広げる場面で、とても画期的であり、かつ国内でも現実的なモデルの一つだと思います。
母児室や産科個室でリラックスする赤ちゃんと家族の様子をご紹介しました。赤ちゃんと家族が関係を深めようとする際、プライベートな空間はとても力になります。
一方で、家族が孤立せず、希望すれば他の家族とも交流でき、思いを共有する機会を維持する工夫もあわせて望まれます。青森県中でも、家族が孤立しないための工夫は課題だと話しておられました。
私達の見学の翌日には、「NICU卒業生の集まる会」が開催されたそうで、そのような取り組みもとてもすてきだなあと感じました。
スウェーデン・ウプサラ大学NICUで、ファミリーセンタードケアの先進的な取り組みを学んだ私達ですが、日本でやりやすい・日本ならではのファミリーセンタードケアと、その広がりについて模索中です。
各施設の事情や今までの「あたりまえ」を前にして、一歩を踏み出すには勇気が要ります。でも、事情に赤ちゃんを合わせるのではなく、その中でも赤ちゃんと家族にとってのベストの方法を考えていく。考え始めることがすでに前進ではないかと思います。
現在のハードやシステムでもできることがたくさんあります。そして、仲間や見守ってくれる人もたくさんいます。
赤ちゃんたちも…。
今後も、施設訪問やその報告を通して、皆さんと一緒に考えていけたらと思います。
ではメンバーの感想です。
荒木俊介
GCUや母児室を見学させていただき、病棟に流れるおだやかなやさしい空気を感じました。
網塚先生を中心に、スタッフの中で赤ちゃんとお母さんをできるだけ分離しないという思いが、これまでの積み重ねでしっかり共有されているのだと思います。
もちろんNICUには重症の赤ちゃんも多く、GCUとは異なる雰囲気でしたが、大きすぎないNICUとして、スタッフが同じ方向を向いて働かれていることを実感しました。
山田美貴
初めて入った時の印象は、とても静か でした。
GCUの赤ちゃんたちはそれぞれ授乳のために母児室に入っていらっしゃるということ。モニターなどはついたままで、外の医療者に伝わっていました。
個々に過ごせる部屋があり、プライバシーに配慮されている様子がわかりました。
そして、ベッド間隔が広くて、動線がスムーズなこと。不要なものは全て廊下や別室の中にしまわれていて、必要時に取りに行くことができるようになっていました。
ざわざわした落ち着かない雰囲気がないことがとても印象的で、家族も穏やかに過ごせるんだろうなと感じました。
産科病棟はほとんどが有料個室。 LDRもとても広く、医療機器はNICUと同様にしまわれていて、リラックスした雰囲気の中でのお産ができるのだろうと思いました。
産科病棟個室の医療ガスの配管です。
普段は隠れています。

斎藤朋子
日中のGCU。そこには赤ちゃんはほとんどいませんでした。
ファミリールームを4つ完備し、そこで家族一緒に過ごしていた
からです。
家族と赤ちゃんができるだけ一緒にいられるように。青森県の
新生児医療の中核を担いながら、いつもこの信念を忘れないで
医療に携わっていらっしゃる姿勢を垣間見ることができました。
熱い思いと行動力のある網塚先生が、スタッフの思いも柔軟に
受け入れながらみんなでよりよいNICUを模索している、充実したハード面とともにそこに流れる優しい思いを感じることができました。
青森県中のみなさまにウプサラ大学NICUの紹介もさせていただきましたが、身を乗り出して聞いてくださって、そしておのおのの思いを熱く話してくださいました。前進し続ける青森県中のスタッフの皆様に励まされた、充実した時間でした。
野口聡子
Late pretermの赤ちゃんをなるべく早く退院できるようにする秘訣は、入院中の赤ちゃんとお母さんがなるべく多く一緒にすごし、
リラックスした空間でおっぱいをする機会をもつこと・・・
そのシンプルな事実にはとても感激しました。
実際に行うにはとても多くの配慮をし、病棟間、スタッフ間の思いを共有したなかで成り立っているのだと思いました。
地域によってNICUの医療に求められるものはさまざまで、実現できることもさまざまですが、「とにかく、ここでできるベストをめざす!」という気合いを感じ、自分もできることから頑張らなくては!と思いました。

NICU入り口にこのようなご家族むけの掲示がありました。ファミリーセンタードケアや赤ちゃんの発達ケアについて
わかりやすく解説されています。
“私達はご家族が赤ちゃんのとても大きな力となることを知っています。ご家族が赤ちゃんのケアに関わることを
心から歓迎致します。” の言葉・・・ すてきですねえ。
夜の部・情報交換会でみなさんと。
とても楽しいひとときでした。
ありがたいことに、私達のウプサラ大学NICU見学報告の
時間まで頂きました。
きょうだい面会やってみようかなあ~、と網塚先生!

見学にあたってご尽力いただきました、
青森県中の網塚先生、スタッフの皆様、本当にありがとうございました!
次回はどこに出没するのか!? お楽しみに〜!!